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文化審議会文化財分科会企画調査会による答申(素案)
これからの文化財の保存と活用の在り方について(答申)
1 これからの文化財の保存と活用の在り方について ―「文化財の匠プロジェクト」の総括と今後の施策の展開― (答申) (素案) 2 Ⅰ はじめに ○ 我が国には誇るべき有形・無形の文化財が多数存在し、これらは我が国の歴史や文 化の理解に欠くことのできない国民的財産であ…
概要:1 これからの文化財の保存と活用の在り方について ―「文化財の匠プロジェクト」の総括と今後の施策の展開― (答申) (素案) 2 Ⅰ はじめに ○ 我が国には誇るべき有形・無形の文化財が多数存在し、これらは我が国の歴史や文 化の理解に欠くことのできない国民的財産である。これを適切に保存し次世代に継承 することは国民共通の責務である。文化財は地域振興・観光振興の礎として地域の活 性化に寄与し、人々の心の豊かさを育む源でもある。 ○ 一方、修理技術者や無形文化財保持者(以下、技術者)や、技術者が用いる用具製 作・原材料生産の担い手(以下、生産者)、天然素材の生産者や加工者の高齢化・減 少・後継者不足により、多くの文化財保存技術が継承の危機に瀕している。保存技術 の継承なくしては文化財の継承自体が不可能である。 ○ 文化財は一度失われれば取り返しがつかない。未来の世代にわたって文化財の魅力 や価値を享受し続けるためには、文化財の保存・継承に携わる人材の養成や事業量の 安定的確保を計画的に推進する必要がある。 〇また、文化財の保存のために必要な技術が、千年以上にわたって、伝統的な技術を 基礎としながら、脈々と受け継がれていること自体も、日本の誇るべき文化((修理文 化)であるといえる。世界からも高い関心と評価を得ている日本の修理文化を絶やす ことなく、次世代に繋いでいくことが求められる。 ○ こうした状況を踏まえ、文部科学省は文化財保存技術の継承を図るため、総合的な 5か年計画として「文化財の匠プロジェクト」(令和3年策定、令和4年改正)を策 定した。同プロジェクトは、文化財保存技術に係る人材養成と拠点整備、文化財の保 存・継承のための用具・原材料の確保、文化財を適正な修理周期で修理するための事 業規模の確保という3つの「柱」を掲げてきた。 ○ 最終年度を前に、令和7年 12 月 19 日、文部科学大臣より文化審議会文化財分科会 に対し、同プロジェクトの総括と今後の施策展開、新たな時代の継承方策の2点につ いて諮問が行われた。これを受け企画調査会が設置され、審議とヒアリングを実施し た。 ○ 本答申は、これまでの取組を総括するとともに、今後の施策展開の方向性と具体的 施策を示すものである。 3 Ⅱ 「文化財の匠プロジェクト」の総括と次期の全体像 1.「柱」ごとのこれまでの取組と見えてきた課題 (1)文化財保存技術に係る人材養成と修理等の拠点整備 (これまでの取組) ○ 本プロジェクトは、選定保存技術の保持者・保存団体の認定を 58 人・34 団体(令 和3年度)から 80 人・47 団体(令和8年度)へ拡大することを掲げ、同一技術の保 持者の複数認定1(や団体認定を推進した。あわせて研修経費の措置、管理業務のサポ ート体制整備、表彰制度創設、通称付与、修理調査員230 人の配置を掲げた。拠点に ついては京都に「文化財修理センター(仮称)」の設置を目指すこととした。 ○ 認定拡大は着実に進捗し、令和8年1月現在、保持者 63 人・保存団体 48 団体(実 数 40 団体)となった。選定保存技術「美術工芸品保存桐箱製作」・「日本産漆生産・ 精製」・「漆工品修理」などで保持者・保存団体ともに複数認定を進めたことに加え、 途絶しかけた技術の継承にも認定制度が寄与したことは特記に値する。また、団体認 定の推進により、組織的な技術継承・研修や原材料確保が可能となった。 ○ 選定保存技術の保持者が行う後継者養成については、100 万円の補助増額を実施し 令和7年度は 18 名に適用され、原材料確保と技術継承の両立に寄与した。また、各 選定保存技術保存団体においても、国庫補助事業による研修や技能錬磨の蓄積など、 団体としての継承の取組が行われている。 ○ 社会的認知度の向上については、「日本の技フェア」を毎年開催し、令和4年度か らは、将来、技術者等になることを希望する層にアプローチする取り組みを行ってい る。また、主に文化財建造物修理分野の選定保存技術に関する若年者の理解や入職促 進を図るため、各種団体との連携のもと、現場見学・インターンシップ等の受入れ企 業リストの作成・配布や、修理関係団体と学校関係団体との意見交換会を実施した。 このほか、各保存団体等による国庫補助事業を活用した普及啓発に関する取組の支援、 各種展覧会・展示会への協力、新聞・テレビ・雑誌等による取材や講演依頼への対応 など、様々な取組が行われた。 ○ 体制・拠点面では修理調査員の配置を進めたほか、「国立文化財修理センター」に 1(従来の「1技術=1名・1団体」を原則とする考え方を見直し、1つの技術について、複数の保持者・保存団体を認 定できる運用のこと。 2(文化財保存技術に関する調査研究、文化財に関する情報のデジタルデータ化の補助等を行う文化庁非常勤職員。 4 ついては令和5年に基本構想を策定、令和8年3月に整備候補地を決定した。修理推 進・調査研究・人材育成・情報発信の4つの役割を見据えた事業を実施している。 ○ 令和4年度から、文化庁の補助事業として、東京文化財研究所が主体となり「美術 工芸品修理のための用具・原材料と生産技術の保護・育成等促進事業」を実施し、美 術工芸品修理用の用具・原材料の調査研究、修理記録の収集とアーカイブ化、記録映 像作成、情報発信事業を実施し、用具・原材料の確保に一定の成果をあげている。ま た、用具・原材料をめぐる全国的なネットワーク構築につながった。同センターでは、 本事業の内容を継承・発展させ、修理推進・調査研究・人材育成・情報発信の4つの 役割を見据えた事業を行うことが期待される。 (見えてきた課題) ○ 掲げた施策は着実に実行され一定の成果をあげたが、選定保存技術の選定や、保持 者・保存団体の認定はゴールではなく継続的な技術継承こそ重要であり、取組は道半 ばである。 〇若手の参入・定着は未だ不十分である。新たにこの道を志してもらうには、そもそ も文化財保存技術の世界を「知ってもらう」必要があるが、選定保存技術の社会的認 知度は未だ高くない。また、後継者が定着するかどうかは、その技術が「生業」とし て成り立つ見通しに規定されるとの指摘が、企画調査会の審議を通じても重ねられて いるが、手仕事の需要も減少しており、選定保存技術保持者・保存団体の構成員が「生 業」として技術を継承し、後継者を養成するにあたって困難を伴う状況にある。入口 段階も、扉をくぐった後にも、それぞれ課題は残る。 ○ 零細な保持者・保存団体は持続的活動に困難を抱えており、地方公共団体による事 務の代行なども見られるなど事務・運営負担の軽減が課題である。保持者・保存団体 間で、相互に情報交換できる場や関係性を十分に構築するに至っていない。 (2)文化財の保存・継承のための用具・原材料の確保 (これまでの取組) ○ 本項では、生産支援の拡大、調査・研究、情 根拠法令:なし
出典:e-Gov パブリックコメント 案件番号 185001510・文化資源政策・記念物課企画係(9653)・締切 2026-10-30↗